UTMBへのみち

世界中のウルトラトレイルレースを制覇しよう

信越五岳トレイルランニングレース2017 100mile(102km)に出場してきたよ

信越五岳トレランレースの100マイルに参加してきました。

今回は台風接近中のため、100マイルは黒姫エイドまでの102km、110kmは52kmに短縮されました。先々週UTMBに出ていたので短縮になって本当に良かったです。なんとか完走できたので、簡単にメモと感想を書いておきたいと思います。

アクセス

私は東京から飯山まで新幹線で向かいました。しかし、三連休だったたせいか新幹線の指定席は取れず、自由席も混雑が予想されました。そこで、東京駅に早めに行って20分前に並び、椅子取りゲームのように席をゲットしました。作戦成功、幸先が良いです。

飯山駅から斑尾高原までバスが出ています。駅では地元名物の笹寿司やらおやきなどが売られていて、コンビニ(NEWDAYS)もあります。私は昼食を飯山駅で調達しました。鶏五目おにぎり2個、笹寿司2個、おやき(野沢菜)一個。いきなりハイペースで食べ過ぎます。

バスで斑尾高原に着くと、100マイルは装備品チェックをしたあと、受付を済ませます。そして、レース説明会に出た後は、出走まで割り振られた各仮眠場所で休憩することができます。なかなかスムーズです。

レーススタート

スタートは19時30分です。台風が接近しているため、風はかなり強く冷たく感じられます。私のテンションは下がる一方です。

そして、石川さんのカウントダウンとともに19時30分に予定通りスタートしました。102kmとはいえ私は不安で一杯です。なぜなら先々週のUTMBのダメージが未知数だからです。しかし、そんな臆病者の私とは裏腹に序盤から超ハイペースでレースは進みました。

序盤

「ちょ、速すぎでしょ、短縮されたとはいえ、102kmあるんだよ。みんなも知ってるよね、100キロのトレイルレースがどんなものか。昨年のUTMFのように100マイルが50kmならわかる。僕も出てたし、その気持ちはよく分かる。でもこれ100kmだからね。しかもロードじゃなくてトレイルだよ。このペースでいったら入賞か死亡だよ。」

そこで私は山路を登りながら、こう考えました。

「ふふふ、みんなばかだなあ、コース短縮されたからって上ずってる。どうぞどうぞ、お先にどうぞ、このままいっても待ち構えているのは死亡だよ。我は序盤抑えて、あとで奇跡の挽回を図るとしよう。またあとでエイドでお会いしましょう。エイドで戦意喪失してる君にエールを送ってあげよう」

しかし、周りに流されやすい私は自分をコントロールすることができません。気づいたときには、接近する台風18号さながらの猛烈な勢いで林道を暴走していたのです。

「序盤抑えて行ったせいか、いい感じにウォームアップされている。身体は雲のように軽い。よいぞ、今日は調子がよいぞ。ふははは。」

調子がよいわけはありません。二週間前に100マイル走っていることをすっかり忘れているようです。ウルトラランナーであればだれしも経験する一時的なやつです。何かを勘違いしている私は暴走列車と化しました。

暴走列車は下りのトレイルをキロ五分くらいでかけ下りました。次から次へとランナーを抜き去り、この区間で順位を上げることに成功したようです。しかし、同時に脚も全て使い切ることにも成功した模様です。

下りを終えた階段の急登を目前にして、私はひとり呆然とそこに立ち尽くしていました。戦意喪失したのはこの私だったのです。そんな私にエールを送ってくれる人などだれもいません。

しくじった。

今更です。

なんとか一山越えて56kmエイドのアパリゾート妙高までたどり着いたものの私の脚はすっからかんです。これはまずい。

今更、私は反省します。

「102kmもあるのに50kmのような走り方をしてしまった。なんということだ。きっと100マイルが102キロになったから勘違いしてしまったようだ。今思えば102kmのトレイルって結構辛い、いやかなり辛い分類に入るのに。なんて愚かなことをしてしまったのか。あぁもうわたしのばか、ばか」

自分の愚かさに頭を抱えていると、エイドの方からの言葉が耳に入ります。

「今の区間が一番辛いそうですよ」

そらそうだ。いや、これより辛い区間があってたまるもんか。少し休もう。

ここでコーラを飲んで、エナジージェルを複数個一気に注入し、胃薬を飲んで、少し休むことにしました。

知り合いと話し、休んだら少し回復した気がしたので、暴走列車は、ゆっくりと、次の目的地を目指して動き出しました。脚は重いですが、まだ動くようです。ここからはまた下り基調が続き、暴走列車は勢いを取り戻していきます。

中盤

「これは復活だ、やはりただのエネルギー不足だったのか、ふはは」

自分の能力を過信した暴走列車は、キロ五分台のペースで再び走り始めます。

しかし、下り坂にもいつかは終わりが訪れるように、私の脚にも平等に終わりが訪れました。私は自らの脚の死期が確実に近づいていることを悟り始めました。目視では確認できない微妙な登り坂も感知できるくらい私の脚は衰えていったのです。

「こらあ、完全に終わった」

辛うじて71kmエイドに辿り着いたとき、私の口から悲痛のことばがこぼれ落ちました。そして残酷なことばたちが疲弊しきった私を容赦なく攻撃します。

「次のエイドまであと18km」

とりあえず落ち着こうか。

ゆかりごはん(にぎり)を食べて、トマトスープを飲んで、オーバーヒートしている頭と身体を冷やすことにしました。

ここからがウルトラトレイルの本当のはじまりです。

10時間30分ほどで71kmに到達したということは、あと9時間30分かけて31km移動すればいいのではないか。私の脳みそは落ち着きを取り戻します。

どうやら完走はいけそうである。

鈍行列車は車輪を軋ませながら、ゆっくりと、しかし、確実に動き出しました。

そこからは歩きとスロージョグを繰り返して前に進みます。かつてのような軽快な走りはもう見る影もありません。私はこのスロージョグを「てろんてろん走り」と命名しました。

しかし、この「てろんてろん走り」でも歩きに比べれば格段に速いです。とにかくゆっくりでも走り続けることを意識して前に進みました。

終盤

恐ろしいニュースが私の耳に飛び込んできます。

台風の接近が遅れているため、再び100マイルに変更される説が浮上したのです。

なんということでしょう、私はベジータのように心の底から震え上がりました。

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p-bandai.jp

むりむりむり、もしそうなったらもう降参だ。

これは現実のものとはなりませんでしたが、実現しなくて本当によかったです。まさに「本当にあった怖い話」でした。

最後のエイドである赤倉エイド手前の山登りでは、強風と雨に行く手を阻まれました。しかし、今年のUTMBフェレ峠の吹雪に比べれば、それはまるで生まれたての子猫のようなものです。

後半はこのようなUTMBの経験が心の支えになってくれました。あの時ほどは辛くない、大丈夫だ、と身体自身が判断し、私を支えてくれていたように感じました。

脚は完全に終わってますが、心はまだ終わっていません。首の皮一枚でぎりぎりつながっています。雨脚は強くなり、雨粒が顔を強く打ち始めます。林道はぬかるみ、110kmの選手に煽られ?ながらもゆっくり走り続けました。

でもなかなか着かない。いったい全体どうなっているのだ。

最後13kmじゃないの?手元の時計では最後のエイドでは86kmだったから、99kmでゴールに着くイメージだったんだけど、一向に着く気配がありません。エネルギー切れか、精神的なものか、身体に力が入らなくなってきました。

「か、顔が濡れて力が出ないよ、ジャムおじさん」

精神的にもかなり追い込まれていたようです。

そこでお守りを取り出すかのように大切にジェルを取り出し、願いを込めて強く握りしめました。

ジェルおじさんの誕生です。

するとどうでしょう、願いが通じたのか、ようやく人影が見えました。あと何メートルですか?

「あと、350メートルです。頑張って走って!」

「はひ」

何とも言えない返事をし、取り出したお守りを注入。

「元気百倍!」

力を振り絞って最後の全力疾走です。

このおかげで最後はものすごい勢いで走ってきた風にゴールテープを切ることができました。

いやあ、ほんとに危なかった。こうしてUTMB後の無謀な挑戦は幕を下ろしたのでした。

そんな辛いなら辞めとけばいいのに。それがやめられないんですよね。

反省

自分の力を過信しすぎないこと。
100キロは思っている以上に長い。
残り300メートルでジェルに頼るな。

装備

ファイントラックコンビは良いですね。

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